近年、MTXや生物学的製剤を早期から用いれば、関節リウマチを寛解にもっていくことも夢ではなくなりました。関節リウマチ治療のアンカードラックとしてMTXの重要性はますます高まっています。MTX使用法の習得のために、メトトレキサート(MTX)診療ガイドラインは必読です。
関節リウマチ(RA)と診断されて予後不良と思われる患者では、リスク・ベネフィットバランスに鑑みて、MTXを第1選択薬として考慮する。
他の低分子DMARDsの通常量を2〜3ヵ月以上継続投与しても、治療目標に達しないRA患者には積極的にMTXの投与を考慮する。
禁忌
慎重投与
開始時投与量は副作用危険因子や疾患活動性, 予後不良因子を考慮して,適宜増減する.
MTX治療開始後,4〜8週間経過しても効果が不十分であれば増量する.忍容性に問題なければ,16mg/週まで漸増することにより,RAに対する有効性は用量依存的に向上する.
1週間あたりのMTX投与量を1回または2〜4回に分割して,12時間間隔で1〜2日間かけて経口投与する.
1週間あたりの全量を1回投与することも可能であるが,8mg/週を超えて投与するときは,分割投与が望ましい.
他の低分子DMARDsや生物学的製剤と併用して使用する際,MTXの用量は,MTX単剤治療の場合と同量使用できる.
メトトレキサート(MTX)診療ガイドライン2011年版からの改編
葉酸製剤の併用投与は,用量依存性副作用の予防・治療に有効であり,必要に応じて考慮する.MTX8mg/週以上投与する際や副作用リスクが高い症例では,葉酸併用投与が強く勧められる.
葉酸製剤は5mg/週以内を,MTX最終投与後24 〜48 時間後に投与する.葉酸製剤は,通常,フォリアミン® を使用するが,重篤な副作用発現時には,活性型葉酸製剤ロイコボリン® を使用する.
投与開始前に,RA活動性評価ならびにMTXの副作用の危険因子の評価に必要な末梢血検査,赤沈,一般生化学検査, 免疫血清学的検査ならびに肝炎ウイルスのスクリーニング検査,胸部X線検査を実施する.
投与開始後,安全性と有効性のモニタリングを行う.
一般検査はMTX開始後あるいは増量後,6ヵ月以内は2〜4週ごとに行うのが望ましい.
項目として,末梢血検査(MCV,白血球分画を含む),赤沈,CRP,生化学検査(AST,ALT,アルブミン,血糖,Cr,BUN)および尿一般検査を実施する.投与量が決まり,有効性が確認された後は,4〜8週ごとに検査を施行する.胸部X線検査は年1回施行する.
有効性の判定には,RAの疾患活動性と関節画像の両者による評価が望ましい.
整形外科予定手術の周術期においてMTXは継続投与できる.
整形外科予定手術以外の手術やMTX12.5mg/週以上の高用量投与例における手術の際には,個々の症例のリスク・ベネフィットを考慮して判断する.
MTX投与にあたり児へのリスクを説明して、MTX内服中は避妊を要請する。
MTXを投与中のRA患者が妊娠を希望した場合には,女性でも男性でも妊娠計画の少なくとも3ヵ月前にはMTXを中止することが推奨される.授乳中はMTX の投与は禁忌である。
メトトレキサート(MTX)診療ガイドライン2011年版からの改編